「駅まで迎えに行くね」
「道路の向かいに行って待ってるね」
どちらも日常の会話でよく使う自然な日本語ですが、いざ「どう違うの?」と聞かれると、ちょっと説明に困ってしまう言葉でもありますよね。
なんとなく使い分けているけれど、実ははっきり理解できていないという方も多いのではないでしょうか。
さらにややこしいのが、「向かえに行く」という書き方。
SNSやメッセージのやり取りで見かけて、「あれ、これって正しいのかな?」と気になったことがある方もいるかもしれません。
この記事では、
・「迎えに行く」と「向かいに行く」の意味の違い
・「向かえに行く」が間違いになる理由
・日常で迷わないための覚え方
を、分かりやすく解説していきます。
「迎えに行く」と「向かいに行く」は同じようで役割が違う

まず最初に大切なポイントからお伝えします。この2つの表現は、音が似ているだけで、意味の中心がまったく違います。
「どちらもどこかへ行くんだから同じでは?」と思ってしまいがちですが、“何を目的にしているか”が大きな分かれ道になっています。
混同されやすい理由とは
混乱が起きやすい一番の理由は、発音がとてもよく似ていることです。
- むかえにいく(迎えに行く)
- むかいにいく(向かいに行く)
会話の中では、どちらも同じように聞こえてしまいがちです。そのため、細かい違いを意識しないまま覚えてしまっている人がとても多いのです。
また、急いで話しているときや、電話口などでは特に違いがわかりにくくなります。
そのまま「なんとなく」で覚えてしまうことが、間違いの入り口になっているのですね。
表記ミスとして広がった「向かえに行く」
最近よく見かける「向かえに行く」という書き方ですが、この意味では正しい日本語ではありません。
これは「迎え(むかえ)」と「向かい(むかい)」が頭の中で混ざってしまい、「向かえ」という形を作ってしまったことが原因です。
音が似ているため、漢字にしたときに混同しやすいのです。
特にスマートフォンでの入力では、変換候補を深く考えずに選んでしまうことも多く、誤った形がそのまま広がってしまいやすい傾向があります。
「迎える」と「向かう」の意味を確認

違いをしっかり理解するためには、もとになっている動詞の意味を知ることが近道です。
「迎える」が表していること
「迎える」は、来る相手を受け止める・出迎える、という意味を持つ言葉です。
たとえば、こんな使い方があります。
- 駅で友人を迎える
- 玄関でお客様を迎える
- 空港で家族を迎える
ここでのポイントは、「相手がこちらへやって来る」という前提があることです。
自分が動くこともありますが、中心になっているのは“来る人”なのです。
「向かう」が表していること
一方の「向かう」は、ある方向や場所に向いて進んでいくことを表します。
- 学校に向かう
- 目的地に向かって歩く
- 家に向かう途中です
こちらは、「自分がどこかへ移動していく」という動きに注目した言葉です。
相手が来るのではなく、自分が進んでいくイメージですね。
「〜に行く」と組み合わさるとどうなる?
この2つの動詞が「〜に行く」と合わさると、意味は次のように分かれます。
- 迎えに行く → 人を出迎えるために行く
- 向かいに行く → 反対側・向こう側の場所へ移動する
つまり、「何のために行くのか」が決定的な違いになります。
例文でくらべると違いがスッと見える
文章で説明されるよりも、実際の場面で見たほうがわかりやすいこともありますよね。
ここでは例文で比べてみましょう。
人を出迎えるときの言い方
- 駅まで母を迎えに行く
- 空港へ友達を迎えに行く
- 保育園に子どもを迎えに行く
どれも「人」が目的になっています。
その人を出迎えるために、こちらが移動しているのです。
反対側や正面へ移動するときの言い方
- 道路の向かいに行く
- スーパーの向かいに行って待つ
- 川の向かい側に行く
こちらは「場所」や「位置関係」が中心です。
誰かを迎えに行くわけではありませんね。
「向かえに行く」が不自然な理由
「向かえに行く」という形は、この意味では自然な日本語ではありません。
「向かえ」という言い方は、別の文法の形で使われることはありますが、「反対側へ行く」という意味では使われないのです。
そのため、「向かえに行く」とすると、文の形としてちぐはぐになってしまいます。
「向かえに行く」と書いてしまうのはなぜ?

では、どうしてこれほど多くの人が間違えてしまうのでしょうか。
いくつか理由があります。
音が似ていて区別しにくい
「むかえ」と「むかい」は、母音も子音もとても近い音です。
耳で聞いただけでは、どちらなのか判断しにくいこともあります。
特に日常会話では、はっきり発音しないことも多いため、違いを意識するきっかけが少ないのです。
スマホの予測変換の影響
スマートフォンで文章を打っていると、予測変換に出てきた言葉をそのまま選んでしまうことがありますよね。
深く考えずにタップした結果、誤った表記がそのまま残ってしまうこともあります。
そもそもとしてX(ツイッター)やメールなどでは「意味が通じれば漢字のことは気にしない」という方もたくさんいます。
文字として見直す機会が少ない
普段のやり取りがチャットや口頭中心だと、辞書で確認したり、漢字をじっくり見直したりする機会が減ってしまいます。
そのため、間違いに気づきにくいのです。
イメージやフレーズで理解するコツ
難しい文法用語を使わなくても、イメージで理解することができます。
動きのイメージで考えてみる
- 迎えに行く → 人のところへ近づいて出迎える
- 向かいに行く → 反対側の場所へ自分が移動する
このように、「人に近づく動き」なのか、「場所へ移動する動き」なのかを考えると、整理しやすくなります。
短い言葉で覚えるコツ
「人なら迎え、場所なら向かい」
このフレーズを覚えておくだけでも、かなり間違いにくくなります。
シンプルですが、とても役立つ覚え方です。
会話の中で練習してみよう
- 「何時に着く?迎えに行くよ」
- 「お店の向かいに行って待ってるね」
実際のやり取りをイメージしながら考えると、自然に身についていきます。
似ている表現との違いもチェック

周辺の言葉も一緒に知っておくと、さらに理解が深まります。
「迎えに来る」との違い
- 迎えに行く → 自分が相手のところへ行く
- 迎えに来る → 相手がこちらへ来てくれる
立場が逆になるだけで、意味はとても近い表現です。
「迎えに上がる」はどんなときに使う?
「迎えに上がる」は、相手を敬って言う丁寧な言い方です。
目上の人やお客様に対して使われることが多く、ビジネスシーンでも耳にすることがあります。
「出迎えに行く」は少し重たい表現
「出迎える」と「迎えに行く」は意味がほぼ同じなので、「出迎えに行く」とすると言葉が重なりすぎてしまいます。
どちらか一方を使えば十分な場合が多いです。
「向かい」と似た位置の言葉との違い
「向かい」と「向こう」の違い
- 向かい → すぐ反対側
- 向こう → 少し離れた反対側
同じ「反対側」でも、距離感に違いがあります。
「正面」との使い分け
「正面」はまっすぐ前という方向を強く表しますが、「向かい」はお互いに向き合っている位置関係を表すことが多いです。
場所を説明するときの便利な言葉
「向かい」は、建物や通りの位置関係を説明するときにとても便利な言葉です。
「コンビニの向かい」など、日常でもよく使われますね。
「迎える」は人以外にも使われる
時間や季節にも使える

- 朝を迎える
- 新しい季節を迎える
- 年末を迎える
人だけでなく、時間や出来事にも使われるのが「迎える」の特徴です。
大切な場面を表すこともある
- 本番を迎える
- 記念日を迎える
何かの節目を表すときにも使う言葉です。
「向かう」は場所だけでなく目標にも使える
目指す対象を表すとき
- 夢に向かって努力する
- ゴールに向かって走る
「向かう」は実際の場所ではなく、目標や目的に対しても使われます。
進んでいくイメージのある言葉
「向かう」には、ある方向へ進み続けるイメージがあります。
そのため、前向きな場面でもよく使われる言葉です。
よく見かける間違いと正しい直し方
SNSで見かける誤った例

「今から向かえに行くね」という書き方は、この場合は誤りになります。
ただ、先程も書きましたがそもそもSNSやメールなどでは漢字がどうでも気にせず意味を伝えることを優先するという方はたくさんいます。
なぜそのまま広がってしまうの?
文字でのやり取りが増えたことで、間違った形もそのまま目に入る機会が増えています。
「みんな使っているから正しいのかな」と思ってしまうこともあるのです。
正しく言い直すとこうなる
- 人を出迎える → 迎えに行く
- 反対側へ移動する → 向かいに行く
このように、目的に合わせて言い換えれば自然な日本語になります。
まとめ。

「迎えに行く」と「向かいに行く」は、音が似ているために混同しやすい表現ですが、意味の中心はまったく違います。
- 迎えに行く → 人を出迎えるときに使う
- 向かいに行く → 反対側や向こう側へ移動するときに使う
- 向かえに行く → この意味では誤り
迷ったときは、「相手は人かな?それとも場所かな?」とやさしく考えてみてください。
それだけで、自然と正しい日本語が選べるようになりますよ。

